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電子マネーの種類(前払い方式と後払い方式など)

電子マネーを運ぶ役割を担っているICカードとは、ICチップの載ったカードのことで、クレジットカードやポイントカードの磁気ストライプカードに比べて数百倍のデータを記録することができる。この「大容量のメモリー」という特色のため、磁気カードにはできなかった様々な活用を実現できるようになった。よく言われているのは、今までの磁気カードは七十二文字の情報しか記録できなかったが、ICカードなら、八千文字と新聞一面分の情報を記録できる。しかも、安全性(セキュリティ)に優れるため、不正、偽造で被害がでているカード犯罪の防止にも劇的な効果があると期待を集めている。

九〇年代から世界各地でそのICカード型の電子マネーの実験が繰り返されてきたが、我が国では、○一年に非接触IC(フェリカ)が登場してから大きくブレイクした。何といってもカードをかざすだけで決済できることと処理速度が一秒以内と速いことが人気になった理由だ。その一番手がJR東日本が発行したスイカで、改札にカードをかざすだけで、〇・二秒の速さで通過できるので評判になってたちまち発行枚数を増やした。それ以後続々と同じタイプの電子マネーが登場し現在に至っている。電子マネーを分類すると、まず交通系と買い物系に分けることができる。交通系電子マネーには、JR東日本のスイカ、首都圏私鉄のパスモ、JR西日本のイコカ、関西私鉄のピタパなどがある。

もともとは鉄道やバスの乗車券として開発され、それに買い物のできる機能を加えたものをいう。一方、ショッピングに使うことを目的に開発されたのが買い物系電子マネーで、こちらはビットワレットのエディ、セブン&アイ・ホールディングスのナナコ、イオングループのワオン、NTTドコモのiD、JCBのクイックペイなどがある。交通系電子マネーは電車、バスヘの乗降をメインとしているために、買い物系電子マネーに比べてチャージ可能な金額が少なくなっている。電子マネーはさらに精算方法から二つに分けることができる。事前に現金をチャージ(入金)しておく「プリペイド(前払い)型」と支払いは利用後という「ポストペイ(後払い)型」だ。まず、プリペイド型だが、これは、カードや携帯電話にあらかじめ金額をチャージしておくと、残金がなくなるまで支払いに利用できるもの。

最大二万円から五万円まで入金できるが、残金が少なくなったら、繰り返しチャージできるのが特色だ。実際の利用としては、二千円とか三千円を前もってチャージしておくと、読取機にかざしたその場で、精算される。スイカやエディはプリペイド型の電子マネーにあたる。もうひとつが「ポストペイ(後払い)型」で、クレジットカードと連携しており、クレジットカード同様に使った金額が後でまとめて請求される。かざした瞬間はデータのやりとりだけで、クレジットカードと同じく利用明細と請求書が後で送られてくる。また、クレジットカード会社が決めた限度額まで支払いに利用できるから残高を気にせず使えるのが特色といえる。NTTドコモのiD、JCBのクイックペイなどがこのタイプだ。

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端末基点マーケティング

このクーポンは読取機を基点に展開するサービスといえる。電子マネーを使うと読取機、携帯電話、PDA(携帯情報端末)、テレビ受像機、パソコン、リモコンなど端末を中心としたいろいろなマーケティングが可能になる。こういったやり方を端末基点マーケティングと呼んでいる。今後はその中心に座るのが携帯電話になると思われる。とくにおサイフケータイである。おサイフケータイというのは、非接触IC(フェリカ)を搭載した機種で、携帯電話をかざすだけで、カードと同じように電子マネーや乗車券を入れたり、本人認証を行なったりできる。カードと違っておサイフケータイは、複数の電子マネーをまとめたり、利用履歴をいっでもどこでも見ることができる、さらに、チャージも専用端末に行かなくてもいっでもできるという特性がある。

加えて携帯電話には、メール機能があり、二十四時間いっでも送受信が可能である。事業者からのメールを利用者はいつでも受け取ることができるわけで、マーケティングツールとしては、これほど魅力的なメディアもないであろう。今後は電子マネーの入れ物として、携帯電話が脚光を浴びて、カードからそちらへとシフトして行くだろう。携帯電話を使って顧客囲い込みに成功しているのがセブンイレブンのナナコである。同社はナナコに関して、カード会員とともにモバイル会員(nanacoモバイル)も募集している。カードでは三百円(税込み)の手数料を取るが、モバイル会員は手数料なしと優遇する。というのも、携帯電話こそ、セブンイレブンのマーケティングの切り札とみているからだ。

モバイル会員を増やせば増やすほど自らの意思を直接伝えることができる。そのため同社では、各店舗の半径五百メートル内の住民を対象として、安売り情報やクーポン券の配布を携帯メールを通じて行ない顧客囲い込みを徹底しようとしている。ちなみにナナコ取得に際しては氏名を記載しなければならない。これは紛失、盗難にあったときに補償を受けるためといわれているが、それ以上に個人情報の獲得によって、商品情報と個人を紐づけ(関連づけ)することを狙っている。セブンイレブンが保有する商品情報は日本一といわれる。それは毎日のきめ細かな努力によって達成され、なし遂げられたものである。

例えば、店長は地域の学校の運動会などの行事はすべて把握しているといわれる。また、精度の高い天気予報情報の提供を受けており、各店は独自に毎日の天気をほぼ正確に予測できるといわれる。その結果、「運動会かおるからおにぎりの発注を増やそう」「明日の最高気温は一度あがるようだから売れ筋のアイスクリームをもっと前にだそう」といったマーケティングが可能になっている。しかし、商品情報はほぼ完璧に持てるようになったが、個人を特定する情報についてはほとんど取得することができなかった。そのため販売促進も十分とはいかなかった。そこを改善するためにナナコが導入された。

ナナコでは一%のポイントと引き換えに利用者の氏名やメールアドレスが手に入るため、今後は豊富な商品情報と個人情報を組み合わせた立体的なマーケティングが可能になると期待されている。半径五百メートルの円内に住む人たちをお得意さまとして囲い込もうとしているセブンイレブンにとっては、ケータイメールアドレスという個人情報が手に入るようになったため、その人たちに対してダイレクトメールなどによって、積極的な販売促進活動を行なっている(最初は住所も予定していたが、住所は書き込むのに時間がかがるために省略した。常連客はご近所の人たちだから敢えて住所は不要との判断をしたとみられる)。

クレジットカードとの違い

同じようにキャッシュレス化を推進するクレジットカードと電子マネーだが、両者はどこがどう違うのか、ここで少しまとめておこう。代表的な電子マネーとしてスイカ、パスモ、ナナコといったプリペイド型電子マネーを例にクレジットカードと比較してみよう。まず、クレジットカードはお金を立て替え払いしてくれるから、その都度、カード会社に借金していることになる。一方、電子マネーは自分のお金を入金して使うから借金ではない。その分気は楽か。クレジットカードには事前に審査があって、落ちることもある。電子マネーは審査がなく誰でも持てる。

庶民的なツールといえるだろう。クレジットカードには本人確認という作業があって、利用するときにサインやパスワードを求められる。結構時間がかかる。一方の電子マネーはたいていの場合はサインもパスワードもいらず素早く処理できる。電子マネーの限度額は二万円から五万円といったところで、少額決済に向いているが、クレジットカードは五十万円から七十万円はあるので、高額商品の購入も可能になっている。

年会費についてはクレジットカードの多くには必要だが、電子マネーにはほとんどの場合必要ない。盗難保険はクレジットカードには必ずついているが、電子マネーは記名式の場合に補償してくれるだけである。最後に発行母体の違いだ。クレジットカードの場合は銀行やカード会社が発行するが、その収益源は決済事業者なので、中心は加盟店からの手数料となっている。電子マネーは最終消費者を対象とする大手企業が発行する場合が多い。こちらも手数料収入に負っているが、企業側の販売促進費用で賄われていることが多い。

マーケティングツールに最適

電子マネーはクレジットカードに比較して利用件数が多い。三井住友カードで、一枚当たり月に二・五件の利用がある。それに対して電子マネーのナナコは月間三千万件であって(○七年六月)、これを発行枚数三百万枚で割ると一枚当たり月に十件使われたということだ。つまり、クレジットカードに比べると電子マネーが四倍使われていることを示している。これは事業者にとっては願ってもないツールということだ。

クレジットカードに比べてはるかに多くの人からより詳細な購買履歴などの情報を得られるということを意味しているからだ。電子マネーを発行する事業者は大企業が多いのもそのためである。エディを発行するビットフレットはソニー系の小規模な会社だが、他はみな交通、流通、通信系の日本を代表する企業が発行している。スイカはJR東日本、パスモは首都圏の私鉄各社、ナナコはセブン&アイ・ホールディングス、ワオンはイオングループ、iDはNTTドコモ、クィックペイはJCB、トヨタファイナンス、ビザタッチは三菱UFJニコスという顔ぶれだ。

大企業が競って発行するのは、電子マネーを使って顧客を囲い込み、マーケティングに活用しようという狙いがあるからだ。そのためにどの企業もポイントプログラムやクーポンを用意しており、利用のたびにお得になる仕掛けをつくっている。それによって販売促進に役だてると共に購買情報を得て新たなマーケティングの資料に使おうとしているのだ。

プリペイド型の使い勝手

プリペイド型は、あらかじめ一定額を入金しておくため、使いすぎる恐れがないといったメリットかおる。その一方で少なくなるたびにチャージしなければならず手間がかかる。チャージをしないでいると残高不足で使えなくなるので、どこで、いくら入金するかを自分なりに決めておくのがいいだろう。チャージは駅やコンビニの入金機を使ってできる。通勤に利用する駅で、一週間ごとに一万円ずつ入れるとか、習慣づけるようにするとよい。意外に知られていないのが、現金併用の支払い方法だ。コンビニで電子マネーを使って払おうとした時に残金が足りないことがある。再びチャージして払うのも面倒なので困ってしまうが、そんな時はあわてる必要はない。足りない分を現金で払えばよいのだ(たいていの店で可能)。

チャージが面倒という人にはオートチャージという方法もある。特定のクレジットカードと関連づけておくと、パスモの場合、たとえば、残金が二千円を下回った時に自動的に三千円か入金されるという仕組みだ。交通系電子マネーなら改札の前で立ち往生することがなくなるから便利だ。支払いは後でクレジットカードと合算して払うようになる。ただし、使いすぎる恐れがあるので、心配な人は利用しないように。ポストペイ型はチャージの面倒臭さはないが、先に述べたように、後払いということで、使いすぎてしまう恐れかおる。いずれにしろ使いすぎを防ぐには一日に使う金額を決めておくなどの対策を取るようにしたい。

プリペイド型とポストペイ型の違いを比較すると、どちらのタイプも現金を持ち歩かなくてよいのが利点となっている。さらに一秒たらずという決済スピードの速さが魅力といえる。先にもふれたが、昼食時にコンビニのレジ前に長い行列を作って並ぶのはイライラするものだが、電子マネーなら素早く決済できる。しかも、小銭を払ったり、受け取る煩わしさがない。また、電子マネーの種類によっては、ポイントが効率よく貯まったり、割引やクーポンをもらえたりするので、さらにお得になっている。事前に登録しておくと、毎日のお得情報(割引やボーナスポイント、推奨商品)を個人の嗜好にあわせてメールで知らせてくれるから、欲しいものを逃すことなく購入できるのも利点だ。

電子マネーは少額決済に向いているのも特徴といえる。クレジットカードの場合は百貨店や大型スーパーが中心で、小さな居酒屋となるとまだ使えないところがある。それに比べて電子マネーはコンビニや飲食店チェーンで利用できるところが増えている。だいたい三千円以下の少額決済は電子マネーの利用に向いているといえる。サインや暗証番号もいらないので気軽で便利である。そのうえ、インターネッ卜での買い物でもカード番号を加盟店に渡すことなく利用できるため個人情報流出といったリスクもなく、その安全性が評価されている。

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